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東京高等裁判所 平成11年(ネ)3904号 判決 1999年12月13日

控訴人

日産火災海上保険株式会社

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

小野寺富男

村重慶一

被控訴人

ローヤル・エキスチエンジ・アツシユアランス

右日本における代表者

右訴訟代理人弁護士

速水幹由

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人は、控訴人に対し、金一九四七万七五〇〇円及びこれに対する平成九年一月一八日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は、第一、二審を通じて、被控訴人の負担とする。

第二事案の概要及び当事者双方の主張

本件事案の概要及び当事者双方の主張は、原判決の「事実及び理由」欄の第二に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三当裁判所の判断

一  原判決の記載の引用

当裁判所も、控訴人の請求には理由がないものと判断するが、その理由は、次項のとおり当裁判所の判断を補足するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第三に説示されているとおりであるから、右の説示を引用する。

二  当裁判所の判断の補足

本件におけるように、連帯保証人が一定の保証限度額の範囲内で保証債務の履行を約している場合の右連帯保証人の責任は、その機能面においては、物上保証人がその提供した担保の価格の範囲内において責任を負う場合に類似しているものと考えられることは、前記引用に係る原判決の説示にあるとおりである。したがって、互いに異なる金額を保証限度額として連帯保証を行った複数の保証人間において、その内部負担割合を考えるに当たっても、右の物上保証人間のそれに準じて、これと異なる特段の合意がない限り、それぞれの保証限度額の割合によるものと解するのが相当なものというべきである。

これに対し、控訴人は、保証人又は物上保証人とその両資格を兼ねる者との間の弁済による代位の割合を、両資格を兼ねる者も一人として、全員の頭数に応じた平等の割合と解すべきものとする最高裁昭和六一年一一月二七日第一小法廷判決を根拠に、本件における控訴人と被控訴人との負担割合も平等割合とすべきものと主張する。しかし、右の最高裁判決は、保証人と物上保証人の二重の資格をもつ者の負担割合を考えるについて、保証人の資格と物上保証人の資格のいずれを基準とするのが相当かを決定することが困難なものと考えられる事案に関するものであり、控訴人と被控訴人とがそれぞれ一定の保証限度額についてのみ責任を負うという単一の資格を有しているに過ぎない本件とはその事案を異にすることが明らかなものというべきである。控訴人の右の主張は、失当なものといわざるを得ない。

三  結論

よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 涌井紀夫 裁判官 増山宏 合田かつ子)

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